「からくり人・血風編」の新之介ことピーター出演記念。
おせい役の草笛光子が、「血風編」の女元締・白浜屋のおりくも演じたことで、キャスト的には、その後日譚みたいに受け止めることもできますね。
今回は、そういう視点の話をば。
第11話「女体が舞台の弁天小僧」
サブタイトルに「紅い」という字を入れたくなる今回*1。
ストーリー的には普通の必殺話で、取り立てて語ることはありません。
おせいの踊りの弟弟子・矢ノ介(ピーター)が、悪の陰謀によって殺されて、その仇を討つ人情ドラマ。
頼み料は、おせいが自腹を切って払うことで、何だか「仕事屋」のスタイルを踏襲しています。おせいの殺しの武器も、「仕事屋」で用いたことのある「ひしゃくに仕込んだ刃」。
この辺は、ストーリーがどうこうよりも、草笛さんの過去キャラを想起させる展開に、シリーズファンとして楽しむべし、ですね。
あと、主水の相手は、強敵・伊賀者の服部。
刀を鎖分銅に絡め取られ、とっさの機転で、刃先を相手に向けて投げ放つものの、かわされてしまい、無手でピンチの展開。
そして、相手と組み合いになって、刀の音だけがザシュッ。
そばにいて、自分の相手を倒した新次が確認したところ、主水は相手の刀をうまく奪って、突き殺していたのでした。
短いシーンの殺しでしたが、ちょっとした緊張感を演出。
ちなみに、伊賀者の強敵ぶりを表す事前演出として、床下に忍び込んだ正八に気付いて、刀ザシュッ。
命からがら逃げ出した正八でしたが、額からスッと血が流れて、九死に一生を得たことに気付く。
それを見た主水が一言。
「ああ、このままだとハゲるぞ」
いや、今の彼の髪型を知っていると、冗談じゃ済まないって(苦笑)。
さて、草笛さんの過去話。
おせいが、「仕事屋の嶋屋おせい」と同一人物と判明するのは13話ですが、本話はその伏線にも思えます。
で、「からくり人・血風編」のおりくはまた別キャラなんですが、キャストを無理矢理つなげてみると、血風編の男性メンバーはいずれも悲劇的な最期を迎えたなあ、とも感じたり。
すなわち、直次郎(浜畑賢吉)は、血風編のラストで死に、
土左ヱ門(山崎努)は、念仏の鉄として新仕置人ラストで死に、
新之介(ピーター)は、今回で死んだと。
これで、血風編メンバーは、草笛さんを残して全滅。
う〜ん、悲劇の元締めだ。
いや、まあ、キャストをつなげなくても、草笛さんがどの作品をとっても悲劇の女元締め(殺し屋)であることは確かで、
仕事屋では、息子の政吉を失い、
血風編では、自分を想っていた直次郎を失い、
本作では、いい仲だった新次を失うなど、ラストで必ず辛いめにあっています。*2
まさに、「男も辛いし、女も辛い。男と女はなお辛い♪」とエンディングにつなげて、今夜は幕。まずはこれまで、あらあらかしこ。