何とか、細々と続けてみる。
第7話「嘘が真実かまことが嘘か」
この回は、いろいろと凝った話。
ぶっちゃければ、大前田英五郎(江戸時代末期の有名な侠客。上州の大親分)の名を騙った悪党を、国定忠治に扮した新次が仕置する話。ちなみに、依頼人はラストで本物の大前田英五郎を名乗りましたが、依頼料の200両を「自分の名前の入った賭場札」で払って、実際はそれが何の役にも立たない板切れだったというオチ。
その依頼人は、故・戸浦六宏氏*1が演じる辺り、どっちが悪党だか知れたものじゃありません。要するに、サブタイトルどうり、依頼人も、悪党も、商売人もみんながみんな騙し合いを演じていた、ややこしい話だったわけですな。
まあ、凝った話すぎて、悪党に殺された芸姑の悲しみなど雲散霧消。
ドラマの中核は、善人ぶっている大前田の正体あばきや、大勢の手下に囲まれた中で、どうやって倒すか、というサスペンスに集中。でも、こちらが国定忠治に変装すると、向こうも偽者だから、お互いに疑い合いながらも、侠客としての仁義は通さねえと嘘がばれちゃうから、腹の探り合いをしながら懐に引き入れるしかないわけで。
そして、新さんも敵の只中で迂闊に動けないのを、一度は「相手が大物」と仕事から下りた主水が、「国定忠治を召し捕りに来た」という名目で捕り方を率いて、敵陣に乗り込む援護。その混乱に紛れて、新さんが的を仕置し、慌てて逃げ出した悪徳商人と役人は、それぞれ、おせいと主水が始末。
う〜ん、こう書くと、実に面白い話だったように思えてきます。
でも、見ているときは、自分、寡聞ながら「大前田英五郎」という人物のことをよく分かっていなかったので、ストーリーの途中まで、この回が『からくり人』や『仕事人・激突』と同傾向の歴史人物をネタにした話だとは気付かなかったわけで。
ネットで調べなおして、ああ、大前田って、それぐらい有名人だったのね、と納得した次第。
パロディーは、やはり元ネタを知らないと、面白さが半減するなあ、と。
で、元ネタを知ったらどうか、と言われたら……戸浦六宏が悪役じゃなかったのが、何だか物足りないです(爆)。いや、まあ、商売人を結局、ただ働きさせたんだから悪党なんでしょうが。
4話に引き続き、どうも、商売人って、あこぎな依頼人から金をもらえない話が多いような*2。
依頼人も「銭勘定に汚い商売人」ってことですかね。
そんな簡単にだまされて、「江戸プロフェッショナル」の肩書きが泣きますぞ。やはり、きちんとした元締めのいないチームは……(以下略)。
PS:主水の役人殺しは楽しかったり。主水が、悪事がばれていることをほのめかすと、役人は口止め料の金を投げやります。主水がそれを拾っている間に、斬り殺そうと刀を抜くわけですが、それを当然、察した主水が相手の刀を受け止め、返り討ち。しかも、役人、なかなか死なないので、滅多切りにするわけですな。やはり、商売人の主水はアグレッシブ。
で、最後に、口止め料をちゃっかり懐に入れます(笑)。う〜ん、仕事人のときには、そういう金には手を出さなくなっていたのになあ。商売人の時は、やはり銭に飢えているんだなあ、と実感。まあ、この回は他に収入もなかったし、捕り方動かした際に「俺の勘違いで、夜中に動かして悪かったな。これで美味いもんでも喰ってくれ」と金払っているから、必要経費だったってことで。