Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

ボウケンジャー48話(後編)〜49話(最終話)

 思いがけず勢いづいて、感想のはずが、小説めいてしまったボウケンジャー記事も、これでラスト。
 戦隊シリーズって、例年、複数のキャラがいて、「お気に入りキャラ」と、その他に分かれがちですが、ボウケンジャーの場合、稀にも「お気に入りキャラしかいない」作品となりました。ここまで、ハマリきった作品も珍しい。
 「お気に入りキャラ」がはっきりしている場合、そのキャラの主人公回は充実して、他のキャラの主人公回はテンションダウンになってしまうこともあるのですが、ボウケンジャーの場合、毎週のようにテンションが維持できて、いわゆる外れ回がなかった、と思う。
 「ミッションをこなすチーム」としても、「人格を持った一人一人のキャラ」としても、双方のバランスが良く、充実していたメンバー構成。


 その中にあって、「サブリーダー」のさくら姉さんのキャラは、NOVAにとって大当たり。
 いわゆるクール・ビューティーだけど、感情表現の豊かな妹分の菜月をうらやましく思ったり、
 前面には出さないけど、チーフである明石への想いを時折アピールしたり、
 ラストで、「明石を追いかけて宇宙に旅立った、さくら姉さん」の行動が唐突、恋愛ゲームで言うフラグが立っていないのでは? という意見が某所に書き込まれていたけど、そんなフラグ、必要ないじゃん。
 一年間追いかけて見ていたら、随所で「さくら姉さんの秘めたる想い」は描かれていて、それが最終決戦の際に、一気に加速しただけ。それとも、フラグが立つようなシーンをはっきり描かなければ、それまで丁寧に積み上げてきた描写を成就させてはいけないのだろうか? それこそ恋愛ゲーム的で、陳腐なドラマになると思うけどなあ。


 まあ、好きなキャラの足りない部分は、脳内補完で補う、として。最後を飾る「さくら萌え」風味のシーン小説をば、スタートUP!

恐怖なる大神官(後編)

ピンク&ミストレス・ボイス(承前)

 どれだけ眠っていたのか? 
 身じろぎし、目を覚ました、さくらはぼんやりする意識を覚醒させるために、頭を振った。長い黒髪が揺れる。少しザラザラした感触。瓦礫の中を走って、粉塵もいっぱい浴びたのだろう。
 顔も相当汚れているだろうな。
 ミッション終了後は、真っ先にシャワーを浴びないと。
 そういう女性らしいことを考えている自分に気付き、さくらは苦笑した。
 今はまだミッションの途中。任務に集中しないと。
 そう思いながらも、任務以外の雑事に気を紛らわせることができるのは、昨夜よりも気持ちが落ち着いた証拠だ。集中することは大切。でも、集中しすぎて、目前のことしか考えられないでは、いい作戦は立てられない。作戦を立てるには、まず状況を見つめ直し、使える戦力をフル活用しなければならない。


 身を起こし、アクセルラーを確認する。携帯電話型のアクセルラーの機能は、全てが死んだわけではない。
 まず、時刻は分かる。5時42分。早朝だ。絶望の夜が明け、希望の曙光が灯っている、と信じたい。
 かすかな祈りを込めて、変身の操作をしてみるが、スーツの装着は行なわれない。ふーっとため息をつく。夜明けが全ての闇を追い払ってくれるとは限らない。状況に光を灯せるのは、やはり自分の行動だけなのだ。
 次に、確かめるのは通信機能。仲間たちは、無事に逃げ延びているだろうか? 
 ……通じない。それは、通信機が壊れているせいか、それとも、仲間たちが通信に応じられない状況にあるからか……後者でないことを、さくらは願った。
 時間は、5時50分。無益な確認のために、8分を使った。アクセルラーへの依存を断ち切って、他の使える装備品を探しに行った方が良さそうだ。


 司令室を出て、外の様子を確認に出た、さくらの耳に、少女の悲鳴が聞こえた。
 菜月? 一瞬考えて、飛び出したさくらに見えたのは、ガジャの人造兵士カースに追われる、見知らぬ年端の行かない黒服の少女の姿だった。ただ、彼女が抱えている物には、見覚えがある。
 プレシャスボックス。
 「ミッション! プレシャス保護が最優先。ボウケンジャー、アタック!」
 どこかで明石の声が聞こえたような気がした。幻聴だということは分かっていたが、その声に突き動かされるように、さくらは動いた。


 一体一体は大したことのない石人形のカースも、圧倒的な数に包囲されると脅威だ。最初は優勢に戦っていた、さくらも次第に疲れてきた。疲れながらも訓練された体は自然に動いて、群がるカースの攻撃をかわし、受け流し、蹴りと手刀で叩き伏せる。その間に、思考はめまぐるしく動いていた。
 助けた少女とのわずかな会話で、さくらは素早く状況を把握した。ボックスの中に入っているプレシャスは「ゴードムの脳髄」。奪われた「ゴードムの心臓」に続いて、ガジャが入手したがっていた秘宝だ。そんな大切な物をどうして、きちんと保管しないのだ! と怒りの言葉を口にしかけたが、目の前の少女に怒鳴っても仕方ない。心の中で、どこかで現状を把握していそうなミスター・ボイスに毒舌を吐きつつ、拳の怒りは周囲のカースに叩きつける。
 それでも、相手の数は一向に減らない。動く前に、武器を確保しておくべきだったな。銃器か、手榴弾か、大型火器か……せめてナイフの一本さえあれば。
 一人で、この数を相手にするには、無謀すぎた。それでも……。
 「プレシャス保護が最優先。ボウケンジャー、アタック!」
 明石の言葉が、弱気になりがちなさくらの気力を奮い起こし、疲れた四肢を動かしていた。いなくなっても、彼の、チーフの、明石暁の言葉が支えになることを、さくらは自覚した。
 変身できなくても、「深き冒険者ボウケンピンク」の魂を失わない西堀さくらにとって、人類の英知の結晶であるプレシャスを守ることは、今や絶対に果たさないといけない使命といえた。いや、使命やミッションよりも、もっと大切なもの。それは……明石の冒険者としての想い、そのものだった。
 プレシャスは物ではない。それは英知であり、人の想い。その明石の残した言葉が、さくら自身のプレシャスだった。そう、人の想いを、こんな心を持たない石人形たちに蹂躙させるわけにはいかない。
 絶望的な戦いの中でも、彼女の気力はくじけず、不屈の冒険魂が疲れきった体を突き動かしている。

結集する仲間たち

 ……と、小説風描写はここまで。どうも、NOVAが書くと「萌え」が「燃え」に変わってしまうなあ(苦笑)。
 この後は、孤軍奮闘するさくら姉さんを助けに、イエロー、ブルー、シルバーが駆けつけ、さらにブラックが復帰。未熟ながらも、熱意だけは負けないリーダーシップを発揮する流れ。このブラックのキャラこそが、今考えると、「未熟だけど、勢いで突っ走りがちな最近のレッド」像だったことに、今ごろ気付いた次第。
 そして、メンバー全員が各自のプレシャスを見つけ、スーツ非着用デュアルクラッシャー連発で、強敵デスペラートを撃破。こういう最高の状況で、巨大化したデスペラートと戦うため、ダイボイジャーに乗ってボウケンレッド復活という、燃える流れで、最終話に至る、と。

果て無き冒険魂

 最終話です。
 一話前で重いドラマを昇華して、最後は勢いよく加速。こういうスタイルの方が、最終話で重いドラマを見せられるよりも、圧倒的に清々しいですね。後は、その勢いに乗り切れるかどうか。
 こういう勢いを文章化すると、自分の場合どうも口説くなってしまって、かえって勢いを削いでしまいそうなので、やらない。「さくら姉さん」の心理描写補完ができて、NOVAは満足なので、最終話は感想に徹します。

ダイボイジャー最後の見せ場

 ゴーゴービークルがまだ封印中なので、スーツなし状態で、ダイボイジャーに登場している6人のボウケンジャー&ズバーン。
 この最終話では、(アルティメット)ダイボウケンと、ダイボイジャーのそれぞれに見せ場がある、ロボ好き燃え〜な回。最終話では、ロボ破壊、という展開も多い戦隊シリーズの中で、ロボ戦2本立て、というのは随分、恵まれています。
 さて、ダイボイジャー、変形前の戦艦形態ゴーゴーボイジャーが、宇宙航行も可能ということが最後の最後に明かされます。これに乗って、宇宙のプレシャス探索に旅立ったチーフ&さくら姉さん。来年の春にはラブラブ状態で、地球に帰還することを願っております。
 アバレ以来、毎年見られる戦隊恋愛話については、後で総括。

人の心で動くマシン

 プレシャス=人類の英知と想いの結晶、ゆえにプレシャスの中に蓄えられた「人の想い」こそが無限のエネルギーになる。詭弁を通り越して強弁じみた理論ですが、戦隊シリーズファンとしては、すでに「ゴーゴーV」の「マックスビクトリーロボ ブラックバージョン」で先例を見ていますから、ここは納得するしかありません。
 これにて「99マシン」のテクノロジーが、「ゴーゴービークル」に取り入れられていることも類推できますし、むしろ建設的考察のネタとしては、楽しくなることでしょう。
 ともあれ、最後の決着は、果て無き冒険魂を宿した「アルティメット・ダイボウケン」によるもの。ここは渡辺宙明作曲、串田アキラの歌う「FLY OUT! ULTIMATE DAIBOUKEN」を聞きながら、「燃え」を思い出すこととしましょう♪
轟轟戦隊ボウケンジャー プレシャスアルバム2 ソングコレクション

そして半年後

 ガジャドムを倒し、力を失ったガジャ様は封印されました。
 リュウオーンを失った邪竜一族は、残された兵士たちが陛下の意思を受け継ぐことに。部下をこき使った暴君かと思いきや、意外と人望あったんだなあ、陛下。
 そして、海外に逃げたダークシャドウは、弱体化したとはいえ、今なお健在。
 結局、悪は滅びず、冒険は終わらない、という、本作品らしい終わり方です。こういうのを見ると、来年の「VS物」は、いろいろと話を期待したくなります。
 「風のシズカ」と「メレ様」の共演とか、「復活したガジャ様」とか、「リュウオーンの遺した恐怖の兵器」とか……重傷を負ったけど、実は生きていたリュウオーン陛下、とかもありかも。


 そして、ボウケンジャーサイド。
 「アスカ&マホロ」、「仙ちゃん&ウメコ」、「麗ちゃん&ヒカル先生」といった形で、恋愛率の上がった近年の戦隊ですが、さくら姉さんの行動は、NOVAのツボをつきました。まず、レッドとピンクというカップリングは、ありそうで稀な王道ですよ*1。成就しなかった「タイムレンジャー」の雪辱を晴らすようで、戦隊史上に残る痛快事です。
 宇宙のプレシャスを探索すべく、ブラックにチーフの座を託して、単身ゴーゴーボイジャーで旅立とうとする明石暁。それを笑顔で見送る「さくら姉さん」……この描写に思いきり違和感を感じていたら、実は「牧野先生の変装」という昔の話*2に基づいたオチに大爆笑。
 そして、押しかけ妻よろしく、密航していたゴーゴーボイジャーコクピット上で、「『暁さんのパートナー』として同行させて欲しい」旨を不器用ながらも告白した、さくら姉さんに対して、「そうかあ。それにしても知らなかったなあ。ピンクがそこまで『宇宙のプレシャス』に興味を持っていたとは……」と応じる冒険バカ明石。恋愛には無関心な永遠の少年、明石暁に対して、さくら姉さんの不器用な恋は果たして実るのか? それとも一年たってもプラトニックラブ状態? 


 ラブコメディとしても楽しめた、ボウケンジャーに萌え、な一年でした。


PS:擬似SSの「ピンク&ミストレス・ボイス」ってタイトル。書き始める前は、もう少し、「実はボイスの、謎の少女」についても妄想を深めようと思って付けたんですが、さくら姉さんについて書くだけで精一杯でした。露出情報の少ない「ボイス」ちゃんについて書くなら、設定から自分で作らないといけない。書いているうちに、思いつけば良かったのに、と思いつつ……。

*1:一応、「ジャッカー」と「ジェットマン」が挙げられるかな。改造されたサイボーグの恋愛は悲劇を伴いますし、ジェットマンの場合は厳密にはピンクではなくホワイトですが。

*2:35話「神の頭」。その際には、明石に変装していました。