特撮話から手を広げて、今夜からアニメ話も設けてみました。
最近ぼくは、セイザーXの「宇宙海賊ブレアード」に燃えているわけですが、やはり宇宙海賊と言えばハーロックでしょ、ということで、アニメ話の最初のテーマとして挙げてみるわけです。
ハーロックと言えば、やはり主題歌の歌詞のインパクトも凄いわけで、ぼくの論師(議論の師匠に当たる友人)も絶賛していました。やはり、「漢の生き様 ここに集約せり」と感じさせる主題歌で、子供には安易で無粋なツッコミしかできようのない難解な代物。ここでは、その(よくある)ツッコミに触れながら、ハーロックファンとしてすっぱり断ち切ってみたい、と思います。
『宇宙の海は 俺の海』
もう、海賊キャラの名セリフともなっている出だしですが、よくあるツッコミは、「宇宙はお前だけのもんかい? 何て傲慢な奴なんだ!」ってもの(ぼくも、子供の時にそう思ってました^^;)。
しかし、ハーロックは、「宇宙が自分一人の占有物」とは一言も言ってません。むしろ、その後に、『俺の果てしない憧れさ』と歌っています(いや、歌っているのは水木さんなんですが)。つまり、宇宙は所有対象ではなく、憧れの対象、しかも果てしないということで、自分ひとりで所有しきれる広さではない、とまで仄めかしている。
つまり、「宇宙の雄大さに憧れる自分の想い」を歌うだけで、狭い所有概念とは異なると解釈しないといけません。
『地球の歌は 俺の歌』
これも、その後で『俺の捨てきれぬ故郷さ』と続けることで、宇宙だけでなく地球をも愛していることを歌っているわけで……決して、「地球の歌の著作権を全て独占しよう」などとバカなことを言ってるはずがないことは、分かるでしょう(笑)。
なお、「地球の歌」と聞くと、NOVAは『伝説の勇者ダ・ガーン』なんかを思い出しますが、なかなかいいフレーズです。もっと硬派に行くなら、アーサー・C・クラークの『遥かなる地球の歌』になるのでしょうが。
『友よ 明日のない星と知っても やはり守って戦うのだ』
もう、これがハーロックのテーマとも言えるぐらい、重要なサビの部分です。
「明日のない星」というのは、もう非常に絶望な状況です。
これが3番ともなると、『友よ 明日のない星と知るから たった一人で戦うのだ』とまで、想いがエスカレートします。
絶望的な状況下でも、守りのための戦いを続ける……ここにハーロックのダンディズムの極致が感じられます。
なお、2番は『友よ 明日のない星となっても 君は地球を愛していた』 ここは、ハーロックではなく、亡き友にしてアルカディア号のコンピューターに宿りし大山トチローの想いを歌っています。友の愛した地球を、自分も同じように愛しており、捨てられない……こういう部分も、ハーロックが自己中の独善者ではないことを、しっかりと表現しています。
『命を捨てて 俺は生きる』
そして、ラスト。
子供時代に聞いたときは、矛盾極まりない歌詞でした。命を捨てたら、生きられへんやんけ〜〜。
もう、そんな子供時代のNOVAには、「起死回生」とか「一生懸命」とか、「死して屍拾う者なし」といった言葉を教えたくなります……って、あれ? 何か違うのが交じってる?(苦笑)
……とにかく、「命を捨てる覚悟で、真剣に勝負に挑むことで、生を充実させる」なんて大人の哲学を、短くまとめた名フレーズ。
こんな格好いいハーロックの主題歌を作詞した人は、保富康午氏。すでに故人ですが、最近では『大きな古時計』がブレイク。
そして、NOVA的には『UFOロボ グレンダイザー』や『大空魔竜ガイキング』の主題歌、ひいてはスパロボファン必聴の『いざ行け!ロボット軍団』の作詞家として、改めて宣揚したい人です。