誕生日企画もこれで終わり
NOVA「この記事を最後に、俺はまた旅に出る」
シロ「え? 新星さまがいなくなる? せっかく、いろいろ教えてもらえると期待したのに……」
NOVA「シロ君、残念ながら俺は君の師匠ではない」
シロ「ガーン。もしかして、ボクが浅はかだから、弟子入りを認めていただけないのでしょうか?」
NOVA「違う。君の師匠は、ヒノキ姐さんであり、怪獣王の異名も持つ時空仙人セイリュウGさんだから。俺は彼らの代わりにはなれない」
シロ「しかし、時空魔術を研鑽するためには、新星さまの教えが不可欠」
NOVA「そうではない。俺の時空魔術は、多くの先達や知己に接してきた中で、俺自身が悩み、考え、培ってきた俺自身の技。それは俺の魂の契約精霊である花粉症ガールにのみ、使いこなせる代物。それに追いつくには、君は君自身の時空魔術を磨かねばならぬ」
シロ「ボク自身の時空魔術……」
NOVA「そう。俺の話を聞いて学ぼうとする意思は嬉しいが、俺は君の師匠、日野木アリナやセイリュウGさんほどの武力も持ち合わせていないし、マスターと呼ばれることはあっても、まだまだ修行中の身。ようやくWhiteの称号からShinyに一歩踏み出したに過ぎん。共に考え、研鑽することはできようが、意識を一つところに囚われるな。君自身がまた数々の知己に接して、俺を越える知見を会得し、俺を教え諭せるレベルを目指さねばならん。それには、俺しか見ていないようではダメだ。まあ、俺の書くものでさえ、まともに解釈できない誤読の王者は問題外なんだが」
シロ「つまり、ボクはどうすれば?」
NOVA「弟子じゃないと言ったはずだぞ。つまらない質問をするな。時空魔術とは一つところに囚われず、柔軟に物事を見据えて、事象を紡ぎ合わせる心魂から生まれる。まずは如実に、ありのままに物事を見据えよ。自己の偏見で物事を決めつけるな。己の分をわきまえて、むやみに他の領分を脅かすな。自分の人生は自己のもの、他人の人生は他者のもの。ある程度は交わることがあっても、時が過ぎればまた分かれ、良縁があればつながるもの。
「ヒノキ姐さんからの教え、セイリュウGさんからの教え、そこに俺の知見を加えられるならば加えるがよし、しかし使えぬとなれば取捨選択し、良きものと悪きものを峻別せよ。全てが最良のものとは限らぬし、全てが最悪のものとも限らぬ。ゆえに、単純に事の良し悪しを安易に決めつけて、これは完璧だとか、これは駄作だとか、極論に走ることを戒めよ。曇りなき鏡のような心で、真実を追求し続ける。その研鑽の過程が、このNOVAの時空魔術の真髄よ」
晶華「一言で言えば?」
NOVA「仏智を目指せ」
晶華「へっ? 時空魔術って宗教だったの?」
NOVA「俺のはな。俺の原点は仏教だし、ヒノキ姐さんは神道だし、ノヴァストラダマスはサンタさんだし、それぞれ拠って立つ根本が違うんだよ。だから全てが一致することは絶対にない。それでも、通じ合わせるところは通じ合わせ、踏み込むべきでないラインは踏み込まない。そういうラインを無視した余計な好奇心は、『だったら、お前は摂受折伏の説法を受けたいのか? 我が教えに帰依しようと言うのか?』という流れになる」
シロ「そ、それは……遠慮したいかと」
NOVA「普通はそうなるな。俺も趣味話の場所で、むやみに宗教論争につながり兼ねない説法をしようとは思わない。だが、まあ、リアルで悩み事相談なんて持ち込まれたら、『だったら仏に帰依するつもりはあるのか?』って善意で勧めることになる。
「さらに言うなら、『金がなくなったらどうする?』という質問に対しては、『ギリギリまで頑張って、ギリギリまで踏ん張って、どうしようもなければウルトラマン、ならぬ仏の加護を願え』という答え方になる。信仰ってそういうものだろう? 自分に神仏の加護が付いているとなれば、時には傲慢にもなるし大胆にもなるが、そこまで宗教べったりで世間から逸脱した振る舞いになってしまえば……まあ、そういう宗教人もいるわけだが、俺はイヤだなあ、そういうの。
「仕事も大事だし、趣味も大切にしたいし、別に信仰も毛嫌いしているわけじゃないし、自分の土台だから捨てられん。だが、それが他人の土台として勧められるか? と問われたら、それは他人が決めること。俺は俺の信念を語りこそすれ、それを聞いて他人がどうするかまで押し付けるつもりはない。そういうスタンスで行動しているわけだ」
晶華「つまり、NOVAちゃんにとって宗教とは?」
NOVA「俺の人生の土台を形作った大切なもの。そして創作趣味の元ネタとして面白いアイデアの源泉。仕事や人間関係で行き詰まったとしても、神仏は自分に味方すると信じて頑張れる心の支え。自分の心に足りない善意の道標。こんなところかな」
シロ「つまり、新星さまから信仰心を抜けば?」
NOVA「心はたちまち凍りつく。花は枯れ、鳥は空を捨て、俺は微笑みなくすだろう」
晶華「すると、信仰心=太陽だと」
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